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悪魔の沼のハのレビュー・感想・評価

悪魔の沼(1976年製作の映画)
3.5
『悪魔のいけにえ』で名前が売れたトビー・フーパーのハリウッドデビュー作。

この日本版のビジュアルイメージしか知らなかったから勝手にオカルトホラーだと思っていたけど、まさかワニ映画だったとは。

原題はEATEN ALIVE = 生きたまま喰われると直球で、本国版のポスターでは異様なカマを構えたネヴィル・ブランドとワニが仲良くこちらに襲いかかって来る様が描かれていてジャンルは一目瞭然。

ネヴィル・ブランド演じる狂ったオーナーの営む寂れたモーテルには沼が併設されており、そこで飼っているワニに食わせるため、オーナーは夜な夜な客を殺しているのだった…という話で、要は『いけにえ』からファミリー要素を引いてワニを足しただけとも言える。

そもそも『ジョーズ』のヒットを受けて雑に立てられた企画(音声コメンタリーより)のようなので、お声のかかったトビー・フーパーが彼的な要素をなんとか捩じ込んだ結果、上記のようなプロットになったんだろう。

もっとも、肝心のワニは非常に残念な出来なので、その周辺には目を瞑って、純トビー・フーパー的な要素にだけ注目すればかなり面白いところの多い映画。

画面の美しさや恐怖表現の質なんかは『いけにえ』の足元にも及ばないものの、キャラクターの豊かさに関しては負けるとも劣らじといった感じで、『いけにえ』と違ってこちらは被害者側もある程度気が狂っているのがにぎやかで良い。

特に序盤に殺されるウィリアム・フィンレイ演じる情緒不安定な父親まわりのシーンはどれも最高。
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