カレーをたべるしばいぬ

Mr.インクレディブルのカレーをたべるしばいぬのネタバレレビュー・内容・結末

Mr.インクレディブル(2004年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

子供の時と大人の時に観るとで印象が大きく変わる一本だと思う。

■シンドロームが非常に不憫
大人目線ではこれに尽きる。
努力のヒーローはナチュラルボーンのヒーローに認めてもらえないし、決して勝つことはできない。果たしてそれで"善い"のだろうか。
そもそも彼が捻くれてしまったのは多感な時期に主人公に邪険にされたことが原因にある。彼は彼なりに創意工夫を凝らし、努力してヒーローになろうとした。でも、先天的な才能の保持者には認められず、勝てもしなった。
彼の行動理念の根底にある「認めて欲しい」という感情は一貫して無視され、結果的に殺人や破壊行動に繋がっている。これは、いわゆる"無敵の人"を作り出すメカニズムそのものではないでしょうか。
ヒーローと家族愛は社会的正義のメタファーであり、その社会に受容されなかった男という構図に見えてしまう。

ディズニー・ピクサー作品なら、ヒーローに憧れてドジをやらかす位の可愛い子供にはもっと優しくしてあげて欲しかった。そこに救いや夢があるんじゃないのかな。

子供の頃に本作に感じた勧善懲悪によるカタルシスは消え、社会風刺的な作品に見えてくる。昔の映画を改めて観てみると、自分の中の情報量や価値観が変わっていて見え方が変わるのも、映画の面白いところですね。