土平木艮

スタンドアップの土平木艮のネタバレレビュー・内容・結末

スタンドアップ(2005年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ…夫の暴力に愛想をつかし、息子・娘を連れて故郷に戻る主人公→友人の紹介で炭鉱で働くことに。労働者の男女比は30:1。同じ炭鉱で働く父親は気に入らない→セクハラの数々→社長に訴えるも酷い対応→チクリ屋扱い、セクハラ悪化→耐えかねて会社を訴えることに→仕事を紹介してくれた友人は重病→協力者が得られないため、個人での訴えに。苦しい戦い→主人公の姿に影響を受け、父親や同僚の姿勢に変化。集団訴訟に→勝訴。

実話に基づいた作品。原作もあり。
『世界初のセクハラ訴訟』を扱った作品。

あまりに酷いセクハラの数々に、ほぼ全編に渡り『眉間にシワを寄せ、溜息をつきながら』の鑑賞。2時間の内、1時間半くらい(の印象)セクハラばかりなので、細かくは書き記せないくらい。

序盤で語られる主人公の少女期からの人となりだけだと『主人公にも問題ありなんじゃないか?』と思わせるが、終盤の法廷シーンで実は『悲劇は少女期から始まっていた』と明かされる。『レイプされて身籠った子供』である事実を息子本人に話し受け入れてもらえた場面、ジーンとくる。

主人公の父親の、会社の組合集会での娘の姿を見てからの演説が感動的。

クズっぷり全開だったジェレミー・レナーにも『少しだけ』救いがあった。

弱気だった原告側弁護士も含め、主人公の勇気に感化され周りが変わっていったって描き方。

会社側の『女性』弁護士も単に敵として描くのでなく『原告側の事情も分かった上で"プロ"として仕事してる』描き方になってた点も良心的。


◉少し気になった点
❶法廷シーン(特に後半)が、やや『力技過ぎ』る気がして、性急に感じた。
❷ミシェル・モナハンの役が『男につけ入られそうなくらい隙を見せ過ぎ』と感じた(セクハラして良い理由にはならないけど)。
❸同じくミシェル・モナハンが、自分の誘いに乗ってこないウディ・ハレルソンに向かって『あんたホモね!』って吐き捨てた場面、『その言い方も色々な人に失礼だよ!』と感じた。

出演者がかなり豪華。

ただ、興行成績的には成功してないらしいのが残念な作品。2005年の作品だが、今でも充分に観る価値のある作品。

美輪明宏さんの『ヨイトマケの唄』を連想した。


関連作品
『告発の行方』…こちらはレイプに関する裁判を扱った作品で、裁判の過程がメイン。
『82年生まれ、キム・ジヨン』…女性の生きづらさを描いてる点が共通項。
土平木艮

土平木艮