ケロケロみん

サスペリア PART2/紅い深淵のケロケロみんのレビュー・感想・評価

サスペリア PART2/紅い深淵(1975年製作の映画)
5.0
欧州超心霊学会の会場ではテレパシー能力者のヘルガが講演している。彼女の能力で会場内に過去殺人を犯した凶悪犯がいることが分かる。彼女は名前も読み取ったのだが講演中は言わず、後で知らせると関係者に伝える。ところがその夜ヘルガは惨殺される。ちょうどその窓の下の広場で飲んだくれの友人と話すマークは事件を目撃し、慌ててヘルガの部屋へ行く。そして事情聴取のため再び部屋を訪れたとき、事件直後の廊下の絵から一枚が消えたことに気がつく。現場に女性の新聞記者がやってきて彼を事件の目撃者として新聞にのせる。2人は共に真相を知るべく調査するがマークが真相に迫る都度、その関係者が惨たらしく殺されていき、マークにもその魔の手が迫る。

日本公開35周年記念究極版 完全版(126分)で鑑賞。ジャッロでサスペンスでホラーな名作。絶えず強烈なイメージを残す。印象的な赤い劇場での降霊シーンや殺す側殺される側両方の視点に迫る惨殺シーン、ピアニストのマークと新聞記者ジャンナとの軽快な軽口を交わすシーン。ひとときも飽きることがない。よく知られているいくつかの豆知識は
・サスペリアの続編のようなタイトルだが、本作の制作の方が早い。日本公開がサスペリアヒット後であったため、名前を関連付けて集客しようとしたのだろう。
・ダリア・ニコロディはこの映画でダリオ・アルジェントと恋仲になり、撮影中に妊娠。そして生まれたのがカッコよくゾンビを倒す「ランド・オブ・ザ・デッド」に出演したアーシア・アルジェント
・ジャッロおきまりの黒皮の手袋の演技は監督自身で行った。

この映画はローマで撮影だと思い込んでいたが、今年の夏のイタリア旅行で是非行きたいと思い調べたら彫刻のある噴水や黄色い大きな幽霊屋敷はトリノにあると判明し旅行のスケジュールを変更してトリノに2泊することにした。そんな観光の下見を兼ねて本作をみはじめたところすっかり夢中で特にジャンナのマニッシュなキャラクターが良い。カメラの構え方やタバコをクルクル回すしぐさがかわいいし、衣装もイタリアらしく洗練されている。例えばプリーツスカートの表はストライプ、プリーツ部分は柄になっていて、凝っている。冷静に考えると疑問に思う面が沢山あるが、話の整合性より見る者に与える恐怖や不気味さのインパクトを優先したというスタンスはスタイリッシュな映像とうまくマッチし、何度見ても見飽きない名作になった。ステキなティーポットはいくつもでてくるが、キッチンをくまなく探してもやかんはなかった。
原題と同じ「プロフォンゾ・ロッソ」というホラーショップがローマにあり、ルイジ・コッツィ監督が経営している。こちらも楽しみ。