イチロヲ

塵に咲く花のイチロヲのレビュー・感想・評価

塵に咲く花(1941年製作の映画)
3.5
孤児の人権問題を目の当たりにした令嬢が、独自路線の斡旋事業を展開させながら、養子縁組制度の刷新を目指していく。20世紀初頭のテキサス州で活躍した女性エドナ・グラドニーをモデルにしている、ヒューマン・ドラマ。

"嫡出子(婚姻中の夫婦の子)"と"非嫡出子(結婚していない男女の子)"のどちらかで、人間の優劣が決定付けられてしまう時代の物語。非嫡出子の不幸を知り、不条理に直面した主人公が、養子縁組を斡旋するための保育施設を立ち上げる。

前半部は、家族の死を体験しながら、自分が成すべきことを覚っていく展開。後半部は、法律に揺さぶりを掛ける一方で、施設の子供への独占欲に駆られてしまう展開。喜劇要素では、モンスター・ペアレンツのオバちゃんが養子を探しに来るシーンが面白い。

出産に耐えられない体をもつ主人公が、胸中の葛藤をひた隠しにしながら、子供を引き渡していく。アイデンティティの確立と瓦解がシーソーゲームのように描かれており、自身の弱さと戦い続ける"強い人間像"というものを、まざまざと見せつけられる。
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