さ

かいじゅうたちのいるところのさのレビュー・感想・評価

4.0
絵本の方は、親のしつけから逃避するマックスが、想像力の中で自らの精神状態を怪物の姿に象徴化していく物語だと思うが、映画も大体の枠組みは踏襲している。抑えられない感情、それによる破壊行為などはそのまま怪物たち(特にキャロル)に移し替えられている。ただ映画のマックスは、絵本のマックスよりもいくらか年上のように見えるのと、その分、感情抑制の習得や協調性の獲得(要するに怪物の問題を通してマックスが成長すること)が全面化している。残念なのは、家庭環境の問題を背景にすることで、寂しさや悲しさという現実の部分が全体を占めており、絵本の方に見られる子供ならではの想像力の奇抜さがややかすれてしまっていることだ。まあそれでもこの映画はほんとに面白かった。
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