僕が20歳の時に当時のガールフレンドと劇場で観覧した。
彼女とは映画を通じて知り合い、紆余曲折ありお付き合いして、そして遠ざかってしまった。
だからこの映画はよく覚えている。
ロバートデニーロが演じるヌードルスが阿片窟でアヘンを吸いながら、ニカっと笑うエンディング。
映画を観たあと、確か新宿のイタリアンで遅いランチをとりながら、「35年間、親友を裏切ったという憂いを抱きながら過ごし、本当は親友に裏切られていたのがとても切ない。」と彼女は泣きながら僕に話した。
言い回しのディテールは違ったかもしれないが、そういうことを僕に言ったのを割とハッキリ覚えている。
泣いている彼女を前にして、僕は心の中で「それは違う。」と思っていた。
エンディングでヌードルスがニカってしたのは、「親友の裏切りはとっくに知っていたんだよ」
ということだろう!
そこの価値観が徹底的に違っていたから、だからとても好きだった君と遠ざかってしまったんだ。
と思っていた。
けれどもそれは大間違いだった。
そうではなかった、、。
遠ざかってしまった本当の理由は、ニードルスがニカっとした理由を、その時の僕の考えを彼女に伝えなかったことが原因なんだ。
それに気づいたのは、今の妻と結婚しすでに3人の子供の子育てが一段落した3年前の55歳の時だったんだよ。
つまりそれは、彼女が泣きながこの映画の切なさを、自分の考えを一緒懸命僕に話してくれた35年前の冬だった。
あの時自分の考えを素直に伝えていたら、僕の運命は大きく変わっていた。
それは少し、いやとても困るが、僕の運命を大きく左右した映画だよ。