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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカのSのレビュー・感想・評価

4.0
禁酒法時代にニューヨークのユダヤ人街ゲットーで育った二人のギャングの生涯を描いた、レオーネの遺作にして代表作。

レオーネ監督作品である『ウエスタン』と『夕陽のギャングたち』を併せて前期の「ドル箱三部作」と対比して「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」と呼ばれ、レオーネが10年の歳月をかけて完成させた壮大なアメリカ叙事詩である。

物語は、ニューヨークのユダヤ移民の子どもたちが自衛のためギャング団を組織し、やがて崩壊していくさまを、少年期、青年期、老年期と3つの時空を交錯させながら描いていく。

◼️
禁酒法の時代である1920年代から60年代後半にロバート・デ・ニーロとジェームズ・ウッズ演じるギャング団のリーダーを追う。
二人の犯罪の取り組み方の違いが、最終的な衝突を避けられなくする。
ヌードルス(デ・ニーロ)は静さで塞ぎ込む性格。マックス(ウッズ)はカッとなりやすい正反対の性格。
1921年、1933年、1968年という3つの特定の年を取り上げ、時代を経ても登場人物たちが変われないことを観客に示している。

レオーネ監督作品では最長の4時間近い長さでじっくり進む物語は、ヌードルスが中国店で気まぐれな自分の一生を振り返るアヘン窟の煙と同様に漂っており、ラストシーンは同じくアヘンを吸うヌードルスの満面の笑みで締め括られる。
時代を示すディテールと構図に注意を払い、本作品でも台詞より映像の力を好むレオーネの傾向が強く見られる。
悲哀なムードを高めているのが、長年レオーネと組んできたエンニオ・モリコーネの素晴らしい楽曲。
ロバート・デ・ニーロをはじめとするキャスト陣の名演、そしてあくまでも男同士の友情と裏切りにこだわり続ける徹底したレオーネ演出の妙。現在を嫌い過去を好み続けたというレオーネ監督の強固な意志は、一番新しい時代(60年代)に「イエスタディ(昨日)」を流すという手法からも容易にうかがえる。
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