unko

キッチンのunkoのレビュー・感想・評価

キッチン(1989年製作の映画)
3.6
勝手に森田監督祭り開催中。

原作は吉本ばななの同名小説。
両親が幼いころに亡くなり祖母と暮らしていたみかげ(川原亜矢子)。
しかし大好きだった祖母も亡くなり、喪失感を埋めるため、いつもキッチンで寝るのだった。ある日、友人の雄一(松田ケイジ)の厚意で、大きなマンションに引っ越すことに。
雄一も幼いころ母を亡くしており、性転換した父親絵里子(橋爪功)と共に生活していたのだった…。

物語ももちろん面白いのですが、祖母の家や雄一の家(一軒家を映画用に改装したらしい)の窓から見える景色が最高に良き。
函館が満喫できる路面電車やSEIKOの花時計、もうロケーションが最高です!(調べたら花時計はもうない模様…悲しい…)
しかしながら、函館市谷地頭町が一望できるショットなど、今すぐロケ地巡りに行きたい気持ちにさせてくれる映画になっています。

路面電車で祖母と思われる高齢女性と子供が戯れるシーンや、祖母の家でのキッチンで寝ていたので雄一の家でもソファベッドを使用せず床で寝ているのも、観客に想像させてくれて細かい。
華やかで、暖かい絵里子や雄一と共に生活していく中で、祖母を亡くしたショックから癒されていくのだが…。

家族の関係や友人関係、職場関係がゆっくりと変化していくと共に、絵里子の親として女性としての心も変化していくのが見所。
親として一個人として、また娘としてみている複雑な状況の中、惜別の品を渡していくのは泣ける。
unko

unko