似太郎

巨人と玩具の似太郎のレビュー・感想・評価

巨人と玩具(1958年製作の映画)
4.4
【会社イノチ🤖】

日本映画界のモダニスト、増村保造の本領が発揮された一作。広告やプロパガンダに踊らされて消費に奔走する大衆のバカさ加減が良く出ている社会風刺映画。

内容は、現代にも通じる貧困層のフーテン娘(野添ひとみ)をアイドルとして利用して儲けようとするキャラメル会社の広告マン(川口浩)の滑稽な顛末を描いたモノ。その皮肉めいたオチはさすがにインテリの増村保造だけはある。

野添と川口は増村保造のデビュー作品『くちづけ』でも名コンビだったが、初期増村作品での初々しい掛け合わせが絶品で、高度成長時代の日本の華々しさが画面から匂い立つよう。

儲けることだけを考えて最後は破滅する資本主義社会の矛盾点を抉った内容とテーマは今観ても痛烈に響く。昔から何一つ変わっていない日本的構造が不気味ですらある。

大衆、マスコミ、プロパガンダetc…といった現代悪的な要素も多く見られ、この監督らしい批評性を感じられる一作。スピーディーな展開はハリウッド映画にも通じるバタ臭さで洋画通の増村監督らしい趣向。
似太郎

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