チッコーネ

スリープレスのチッコーネのレビュー・感想・評価

スリープレス(2001年製作の映画)
3.5
2000年代のアルジェント作品だが、過去の様式を踏襲しており、目新しさはない…、「動物に因んだ連続殺人を展開させる」という手法は、監督が勃興に貢献したジャンル・ジャッロへのセルフオマージュのようですらある。
が、それゆえに無理なく楽しめる、サービス精神豊かな一本。

電車内で生じる第1の殺人の顛末を、遠目からまるで見殺しのごとく眺めているカメラは怖い。
かと思えば、大した必然性もないのに色鮮やかな中華料理店が背景となる場面もあったり…、目先の変え方や遊び心は監督一流で、どこか優雅。
ベルイマン作品~『エクソシスト』の名優、マックス・フォン・シドーの魅力的な佇まいと存在感も豪華だ。
ゴブリンのアレンジは未だギターを多用しているが、一部にリスニング・テクノ的な音使いを感じられる瞬間があったので、OSTの方もチェックしてみようっと。