青二歳

すて猫トラちゃんの青二歳のレビュー・感想・評価

すて猫トラちゃん(1947年製作の映画)
4.1
政岡憲三さんが戦後1947年に製作したミュージカルアニメーション。
50年代末に東映アニメーションが出来るまで、日本のアニメーターはほぼ家内制手工業。動画研究会のほかにも日活東宝松竹といったある程度資本のあるトーキー部門などありましたが、一人でコツコツと製作するアニメーター(衝撃!)や、少人数のプロダクションで製作されていたようです。
戦前に秀作が多い印象ですが、戦後もポツポツ名品が出ていますね。あの物資がない戦後にどうしてここまでのものが出来たのか不思議でならない。今作は東宝が製作したもので、政岡憲三さんのミュージカルアニメーションです。
動きがなめらかなのはもちろん、個人製作の作品にはない見事な音楽が素晴らしい。
嵐の描写などは戦前に発表された“くもとちゅうりっぷ”の方が秀逸ですが、ローアングルや場面転換など映画としての仕上がりがグッとうまくなっていると感じます。背景をセルで動かしたり、かなり意欲的ですね。また水の中のアニメーションも良かったです。政岡憲三さんのアニメでは水中のモーションは初めて見ました。

【おはなし】すて猫のトラちゃんを家に迎えてあげる猫一家。しかし末っ子はお母さんをとられたようで面白くない。挙句家出をし迷子となってしまう。
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