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おかあさんのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

おかあさん(1952年製作の映画)
4.0
とてもよかった。8月は反戦映画月間として戦争映画を見続けているので、終戦記念日には、戦争のない<日々の幸せ>を描く作品にしようと思っていました。

終戦後7年、クリーニング店を再開して軌道に乗りはじめた一家に起こるいくつかの別れ。おかあさん(田中絹代)が背負う重みに子供たちが気づいていき、自分たちもそれを背負っていきます。

おかあさんは一日中働いている。誰のせいにもしないで文句も言わず、黙々と家族のために働いている。寂しさもぐっと抑え、そんな日常が描かれています。

長女の香川京子から見たおかあさん、田中絹代の豊かな表情が素晴らしいです。

香川京子がヘアモデルで文金高島田を結い打掛を着た姿が美しい。でもまだ17歳。柱の影からひょこっといたずらっ子のように顔を出す愛らしさ。おかあさんが娘の美しさに思わず涙します。美しさと共にいつか娘が嫁いでいく日を思うと寂しさも。

奉公に来た丁稚さん、養子に出された次女、預かっている甥、みんなおかあさんを思っている。

人生の苦難もおかあさんが防波堤。防波堤の中で幸せな日々をおくれる。
「大好きなおかあさん」と香川京子が素直に口にする言葉、沁みました。

初、成瀬巳喜男監督。以前、「浮雲」を途中まで観てなぜだかやめてしまったことがありましたが、これは好きな作風でした。

🌻leylaさん、ご紹介ありがとうございました😊
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