おかあさんの作品情報・感想・評価

「おかあさん」に投稿された感想・評価

最後の「おかあさん、幸せですか?」という言葉にすごく考えさせられた。いつでも自分のことは二の次でこどもたちや家族の「為に」生活しているおかあさん。
おかあさんだって1人の人間だし、1人の女性である。オシャレをしたいだろうし、いろんなところにお出かけだって行きたいに決まってる。
なのにそれを我慢して他人の「為に」生きることが果たして幸せなのだろうか?
成瀬巳喜男監督が僅かながら「戦後的思考」を取り入れた作品だと感じた。成瀬監督の映画というよりも脚本を書いた水木洋子のカラーが強い為か、「貧困」或いは「頽廃」を思わせるもの哀しいムードが漂っている。

主演の田中絹代、香川京子を含め役者が皆気品があって素晴らしい。いまの若い人には古過ぎて受けないかも知れないが、個人的には好きな映画です。

このレビューはネタバレを含みます

成瀬巳喜男のテイストなのか水木洋子の資質なのか、それともどっちもそーなのかよくわからないけど、とにかく冷たい。この冷めた感じ。テーマに対するスタンスの取り方。その突き放しっぷり。情緒的になるところをとにかく断絶、拒絶する。すんごい意図的。香川京子必殺の「棒読み」モノローグも狙った演出なのではないかとすら思う。

ちょっと怖いなーと思ったのは、香川京子の手紙形式のモノローグって、彼女が「いつ」「どのような環境で」話しているのかわからないところ。
わたしなりの結論を言うと、おかあさんは「もう死んでしまっている存在」っていうこと。それを香川京子は「知らない」(知らされていない)ってことだ。
ベタな回想形式に「あえて」ぜずに、「あえて」死を省略し、「わざと」棒読みに読ませ「親心を知らないこども」を現出させる手口。それと妙に明るく、その明るさ故に(大根故に)どこか他人事な香川京子という女優の配役。
原作は「全国児童綴方集」。「おかあさん礼讃、感謝映画」だと見ると低温火傷する。成瀬と水木の「大人」コンビが牧歌的に、抒情的に「おかあさん、ありがとう。いつまでもお元気で」みたいなこと「素直に」言うわけないじゃん。

まあ勝手な邪推と見立てなんですけどね。
人がバッタバッタと死んで行くのにこの妙な明るさはなんだろう。。死の場面はおろか、死を悼む家族の姿すら映らない。運動からなる画面のテンポは元々抜群の成瀬だが、本作では時間もビュンビュン進み、感情の断絶に加担している。香川京子のナレーションのひとごと感も相まって、一種のサイコホラーとも言える。加東大介が現代では名付けようのない「捕虜のおじさん」と呼ばれているのが可笑しい。

基本的に唐突に終わる成瀬映画だが、まさかのフェイントに衝撃を受ける。

2017/10/22 DVD
成瀬巳喜男監督が描いた水木洋子原作を映画にしたホームドラマ。
登場人物は善人ばかりで映画にはホノボノとした雰囲気が常に漂っているのだが、物語の内容に目を向けて見ると「息子との死別」・「父(…夫)との死別」・「娘の口減らし」・「親しい人との別れ」など結構シビアなエピソードが続くが、その中でも香川京子の花嫁衣裳はキュートである。(なぜ花嫁姿だったかは、敢えて書きません。)


しかし、この映画、時世の流れがテンポよく、例えば(香川京子の働いている)「今川焼」が一瞬で「アイスキャンデー」になって冬から夏になったり、人が死にそうになっていると(死ぬ場面は省略して)いきなり「お悔みの挨拶」になったり、などなど。

暗いエピソードが多い物語を、ここまで温かく描ける成瀬監督、大したものである。
素晴らしい傑作。
戦後すぐ、福原家は父の工場の守衛、母の露店、娘年子の屋台売りの甲斐あり、クリーニング屋の再建に成功するが…。母親の金銭工面の大変さ、大黒柱だった父の死、手伝いに来ているおじさんと母のあらぬ噂。そして可愛い妹久子の口減らし。街で起こる出来事が細かく淡々と描かれてゆく。香川京子さんの少女性に溢れている明るさが映像を盛り上げる。岡田英次とのデートシーンは楽しい!
tarouman

taroumanの感想・評価

3.5
池袋新文芸座 香川京子祭り。

香川さんの愛くるしい表情を愛でる映画。
舌を出したりウインクしたり、ニッコリするスマイルは天下一品。
花嫁姿にはハッとする美しさがあり、佇まいは既に大女優。
田中絹代さんも安定の上手さですが、凛としすぎて役不足の印象。
世間話のように家族の戦死場所を話すシーンに、リアルな銃後を感じた。
子供たちがとても可愛い。
女優人生70年企画 香川京子映画祭
@新文芸坐

成瀬巳喜男の中でも、個人的にはかなり上位に来る作品。
劇中、家族の中での大きな喪失が2回もあるのにも関わらず、暗くなりすぎず温かみのある印象に仕上げるのはさすが。
香川京子の一番可愛い時を収めた作品でもあり、花嫁姿は本当に眩しい。舌をペロッと出し、襖の陰に隠れて顔を出す仕草にノックアウトされる。その後のウィンクもずるい。

中盤に唐突にお茶目なフェイクで「終」の字幕が出て劇場が騒めくのも面白い。
たなか

たなかの感想・評価

4.7
久しぶりに古い邦画を観たのでカメラの動きのなさに慣れるまで少し時間がかかったが、そうだわそこじゃねぇんだわと持ち直してしっかり楽しみました笑

照れ隠しにぺろっと舌を出したり時にはウィンクまでしてくれる香川京子がとても目映かったが田中絹代のゆっくりゆっくり疲弊していく姿も良かった

嘆くでもなく喚くでもなく、さりとて楽観的でもなく悲しい出来事が続いていく、少しずつ虚無感をたたえながらエンディングまで向かっていく
でも全体のムードは暗くもなく明るくもない
感想を書いてて思ったが絶妙なバランスで進行していた映画でした

ちゃこちゃんがおかあさんの似顔絵を引き出しにしまう姿とかこまかーく染みました

突然の終に一瞬呆然としたが、あれは成瀬さんの茶目っ気なのか笑
今回の香川京子映画祭のチラシに「超必見!」って書いてあったんだけど、本当にファンは超必見のかわいい香川さんが見られる。できればFilmarksの感想は読まずに真っ白な状態で見て!

「女優人生70年企画 香川京子映画祭」
@新文芸坐
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