おかあさんの作品情報・感想・評価

「おかあさん」に投稿された感想・評価

Taul

Taulの感想・評価

5.0
戦後の家族の苦労と明るさ。

省略の美学。例えば成瀬の「おかあさん」では家族の不幸の場面は省略され、淡々と家事をこなす母親の後ろ姿に戻る。小津の「秋刀魚の味」では娘の結婚式自体のシーンはとばされ、独りになった父親が台所に佇む。これはせつない。日本人だけでなく世界中の人が分かる感覚のように思う。
成瀬巳喜男監督が描いた水木洋子原作を映画にしたホームドラマ。

登場人物は善人ばかりで映画にはホノボノとした雰囲気が常に漂っているのだが、物語の内容に目を向けて見ると「息子との死別」・「父(…夫)との死別」・「娘の口減らし」・「親しい人との別れ」など結構シビアなエピソードが続くが、その中でも香川京子の花嫁衣裳はキュートである。(なぜ花嫁姿だったかは、敢えて書きません。)


しかし、この映画、時世の流れがテンポよく、例えば(香川京子の働いている)「今川焼」が一瞬で「アイスキャンデー」になって冬から夏になったり、人が死にそうになっていると(死ぬ場面は省略して)いきなり「お悔みの挨拶」になったり、などなど。

暗いエピソードが多い物語を、ここまで温かく描ける成瀬監督、大したものである。
素晴らしい傑作。
☆☆☆☆★

2008年6月13日 新・文芸坐
rollpain

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4.8
思わぬところでShing02のサンプリングネタに遭遇してしまった。
かめの

かめのの感想・評価

4.6

香川京子特集にて。

素晴らしい!香川京子演じる娘の心情が読み上げられるのが良い。

一人一人の複雑な気持ちが仕草や表情に上手く現れていて、これは胸が痛い。

最後辺りで、嫁入りかと勘違いをするお茶目な話が好き。それに対して、ガハガハ笑う加東大介。似合うね。

田中絹代演じる母親はずっと疲れた顔をしていて、本人は笑ってるつもりでも笑えないほどに疲れているのがわかる。

お母さんが幸せか、心配なの。

終 ふふ。
mince

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4.0
おかーちゃーん!!成瀬巳喜男監督「おかあさん」塚口サンサン劇場で観た。おかーさぁーん!(☍﹏⁰)。 観てよかったyo。2013年8月1日
決して楽しい話でもないのに、本作のように悪人どころか悪意さえも全く出てこない映画もなかなかない。そういう徹底したところが好き。

肺病(?)の息子が病院から脱走したことを聞いて家を飛び出そうとする母・田中絹代に、父・三島雅夫が「どこ行くんだ?」と聞くシーンが凄く良い。そのしどろもどろな姿こそがおかあさんで、田中絹代はザ・映画女優。
似ても似つかぬポパイと娘たちに呼ばれる三島雅夫も性善説を信じたくなるような人物で最高。

それでも「貧しくても楽しい我が家」にはしていないところが何といっても素晴らしかった。
2016年 映画鑑賞043 (映画館036)

どこまでも悲しくできるテーマを、軽やかにコミカルで、ドライに、でも、哀愁のアクセントは忘れずに描き上げる。こんなお菓子があったらいくらでも味わいたいと思えるような黄金比の配分。

家族みんなで遊びに行く向ヶ丘遊園地。一見、同時代のルノワールのような爽快な美しさを身にまとっているような場面でも、”おかあさん”がくたびれきっていて浮かない表情、を見せているのが実に素敵でした。

また、香川京子演じる娘が思わぬ形で見せてくれた花嫁姿。見惚れる”おかあさん”が見せた眼差しや顔付きで一番涙腺が緩みました。でも泣かせない。それが成瀬流。母親が娘の成長に心奪われ、恋人かのような顔付きを見せるだなんて知らなかった。
10

10の感想・評価

4.0
どんなに笑っても恋をしたって生まれた瞬間から死んでいく。抗うことのできない老いに生きるという哀しみを映画だろうと忘れさせることなく描ききるのはすごい。
myg

mygの感想・評価

4.0
三島雅夫の葬式の台所、寡婦らが戦死者の話するのと並列で干瓢足りない話するのたまらないな。今川焼/アイスキャンディ/次女の髪の長さなどで連綿たる流れを見せながらどうしようもなく死や別れがあること、でも受け入れていくこと。もう、な。なっ、て。
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