たむ

眠狂四郎 勝負のたむのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 勝負(1964年製作の映画)
4.2
シリーズの方向性も確立された第二作です。
第一作目の健康的な眠狂四郎から、虚無感を纏ったアンチヒーローへと変化しています。
市川雷蔵さんと名コンビの三隅研次監督。
『大菩薩峠』や剣三部作でも組み、二人の世界観は時代劇で独特の雰囲気を醸し出します。
本作はシリーズでも屈指の人気作とのことで、それも納得、非常に面白いです。
眠狂四郎は人助けもするわけですが、結局は人斬りとなってしまう。
世捨て人になりたくても、巻き込まれてしまい、さらに人を斬っていく。
本作は五人の刺客と斬り合い、柳生一族まで出てきます。
テーマが究極を迎えるラストシーンは、シリーズを象徴する名シーンです。

眠狂四郎は虚無感溢れる名台詞が多数出てきます。
本作で私がいちばん心に残ったのが、狂四郎が囚われ、自分勝手に男を誑かす姫に襲われそうになる時の一言…。
「その汚れた手で、俺の雪よりも白い肌に触れるな」
一本間違えば、とんでもない台詞ですが、説得力を持たせてしまうのですから、雷蔵さんの表現力に改めて驚愕しますね。
たむ

たむ