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牡丹燈籠のmitakosamaのレビュー・感想・評価

牡丹燈籠(1968年製作の映画)
4.3
三遊亭圓朝の有名すぎる怪談噺、牡丹燈籠。原案はかなりエピソードが長いようだけど(オラも全部はわからない)代表的なストーリーでまとめた感じ。
映像化されてる物でも今現在今作が決定版だろうなぁ。
怖くて艶っぽくて清廉で切ない。

新三郎に本郷功次郎。お露に赤座美代子。
気に入らない縁談に対して武家へのしがらみに嫌気がさしている旗本の息子新三郎。長屋で寺子屋を開くなど庶民に親しんでいる。
そんな新三郎に恋い焦がれるお露。没落した武家の娘だが吉原に身を落としている。
お互い世間のしがらみに翻弄され、惹かれ会う二人。
だがお露も、お付きの下女お米も、既に身の不幸に悲観して自害している、幽霊だった。

お露と愛し合う度にやつれて行く新三郎。正体がバレて一旦は拒否するもお露を受け入れちゃう新三郎。盂蘭盆が開けるまでお札を貼ったお堂に閉じ込めて…といういわゆる「お札返し」の話。

単純に綺麗で怖い。ビジュアルも美しい。ワイヤーワークを駆使してすーーーっと幽霊が移動する様よ。正に静の恐怖。暗闇の中で燈籠だけが移動したり、刀を振り回しても斬れないなど、色々見応えある。
ただ骸骨の模型はちょいチャチいかなぁ。

それ以外にも、お盆の燈籠流しのシーンとか素朴な日本の美が背景にあるのも、美しさに拍車をかける。

長屋の伴蔵の役に西村晃。こういう小悪党に西村晃は適役だわ。後の黄門様とは思えん。

翻弄され死しても愛を貫くお露。想い人も道連れに冥府に連れ去ろうとするのは、とても邪悪でとても純情だ。
願わくばオラもこんな幽霊に恋い焦がれて貰いたいものですな。
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