スターリン時代の全体主義ソ連が奏でたディストピアのノイズの響きに合わせて高らかと歌い上げる普遍性漲る人間社会の不条理。「祈り 三部作」という大傑作映画のラストを飾るに相応しい文句無しの集大成。
人類の意志と時空の営み。
政治、芸術、凡俗。
独裁者、画家、群衆。
粛清、反骨、追従。
奸智や虚偽や肥大した自己愛、純粋性や覚知や人類愛、無知蒙昧や妄信や怠慢。
悪魔の懺悔、神の不在、人類の過ち。
目を見張るような驚くべき表現が次から次へと飛び出す宝箱の如き、これまた人類の普遍性浮き彫りにする大傑作。しかも集大成に相応しい完成度の高さ。
「祈り」の始まりから「希望の樹」を経て「懺悔」の最後まで、ひたすらアブラゼ監督の超越した人間性や天才性に感嘆し続けた。