半兵衛

気まぐれ天使の半兵衛のレビュー・感想・評価

気まぐれ天使(1947年製作の映画)
4.5
『素晴らしき哉、人生』と並ぶ天使&クリスマス映画の名作。冒頭の雪が降るクリスマスに湧く町並みの映像が素晴らしくて、そこから心が映画の世界に鷲掴みにされていく。

天使が町の人々に幸せを与えるという物語なんだけれど、何が素晴らしいって単に人を幸せにするのではなく町の人たちに自分にとっての幸せとは何かという問題と直面させて、その上で幸福を与えるというところ。教会を作ることに熱心な神父には家族をないがしろにしていることに気づかせ、教会を建設するスポンサーになった女性にはかつて愛した男との過去を思い出させ、自分が本当にやりたかったことを気づかさせる。こういう風景を見ていると、自分にとっての幸福とはと考えさせられる。

世間ずれした、しかし人の良い天使を自然に演じたケイリー・グランドの好演も印象的。ただ人のために尽くしても人々から忘れ去られ、愛した女性とも結ばれなくて次の赴任先に向かう彼の姿はどこか夢邪鬼を思い出してしまった。
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