菩薩

私はモスクワを歩くの菩薩のレビュー・感想・評価

私はモスクワを歩く(1964年製作の映画)
4.5
あれ?俺間違えてジャック・タチの作品でも観に来たか…?なんて思ったら、タチでは無かったが非常にヌーヴェルヴァーグしていた。フランス本国のと言うよりチェコ、そしてオルミの初期作品に感じる瑞々しさを感じる作品だったが、通勤ラッシュで電車に突進していく人々、電車の中でキレ始めるおっさん、可愛いレコード屋の店員なんて日常に溢れる風景そのものだし、ちゃんと噛むイッヌ、あんたは偉い。きっとこの作品を観た人々はこんな感じで好きなシーンを箇条書きにする事でなんとかこの作品の良さを伝えたいと思っているはず、これは何というか、そんな書く事も無いんだけどめちゃくちゃ面白いよね。ディズニーのキャストの如く足で床を拭くインチキ批評家兼使用人、へんちくりんな馬の絵、結婚を巡るゴタゴタ、ダンスと音楽に彩られた新しい街、雪解け後の新しいロシアの姿。大人でも子供でも無い彼等に託す明るい未来、ひょんな偶然から始まるなんて事ない一日、こんな輝きを封じ込めるのが、映画ってやつの力かね。
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