尿道流れ者

ジャズ大名の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

ジャズ大名(1986年製作の映画)
4.0
ジャズ大名のタイトルそのままで、大名がジャズをする素晴らしい映画。

時は戊辰戦争真っ只中で西郷どんが江戸をおとす前の話。アメリカきら駿河に黒人達が流れ着く。駿河藩にも映画が少し分かる者はいたが、言葉よりも早く心を通わせ仲間になるには音楽が1番で、ジャズを通じて二つが一つになる。

黒人達が駿河に流れ着くまでに紆余曲折あり、仲間も死んでしまうがそんなことはどうでも良いようで、10分程度で流される。それよりも長い時間ジャズでみんながハイになる映像が延々と流れる。その間に戦争は起こり、時代が変わる。映画としのオチも無く、音楽だけが続いていく。それで良いし、それが良い。最後の大団円にはタモリやミッキー・カーティスなど感謝祭なみのゴチャゴチャだが、ノレれば最高のトリップ、駄目なら・・・という感じだが、楽しんでる人を観てるとやっぱり楽しい。

ジャズに名演あっても名曲なしという言葉があるが、この映画のジャズも場面場面にあったジャズが流れるわけではない。ジャズの創成期を想定した物語なので仕方が無いが、ジャズのレパートリーはない。ただ、流れるジャズは名演で、繰り返されるフレーズの反復にはクラブミュージック的な高揚感がある。地下室でひっそりと繰り広げられるジャズセッション、地上には影響をもたらすことはない。ひっそりと秘める狂おしいほどの熱狂、影響も無く、自覚も無く、意味はない。ただそこに触れてしまえば、込み上げるものが必ずある。音楽って良いな、やっぱり。