あさずきとうか

アーサー・クリスマスの大冒険のあさずきとうかのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

最新のSFテクノロジーがサンタ社会にも反映されていて、現代風の新しいサンタクロースに描いているのが斬新です。
それでいて古き良き伝統の部分はしっかりと守られているため、サンタへの夢が壊されることはありません。
お子さんに安心して見せることが出来ます。

メインとなるのはダメな主人公アーサーの成長物語です。
しかし本作は、他の家族の成長物語にもなっています。
兄は利便性や確実性を重視する、いかにも現代人にありがちな効率重視の“やり手”。
父はテクノロジーに頼りっきりで、全く威厳のないサンタクロース。
先代サンタの祖父は、現代の流れに淘汰されることへの不満から、自分の力を誇示しようとする頑固者。
もはやサンタクロースは形骸化されているのです。

そんな欠点だらけの家族ですが、祖父や父は物語を通じて徐々に変わっていきます。
本当に大切なことは何なのかをアーサー自ら行動で示したことで、二人の心に届いたのでしょう。
しかしそれでも兄の心は変わりませんでした。
そんな兄の感情を心の奥底から動かしたのはアーサーではありません。
子供たちにとって大切な存在であるサンタクロース一家が、逆に子供から大切なものをもらう瞬間。
4人の心のわだかまりがなくなるラストシーンは本当に感動しました。