イランの巨匠、アッバス・キアロスタミ監督「ジグザグ道3部作」の完結編です。
冒頭では監督自ら出演し、他のキャストは全員地元の方々を起用するキアロスタミ監督。
"映画内映画"という手法をとり、製作の裏側で現実に巻き起こるドラマを、ユーモアを交えながら描き出します。
前作、イランを襲った地震をそのまま描いた「そして人生はつづく」に少しだけ登場した、地震の翌日に結婚したある夫婦。
夫は妻にプロポーズを断られた過去があり、それを知った監督が2人のエピソードを映画にすることを決めたそう。
セットもなく、イランの美しい原風景をそのまま映像に込める技はさすがのひと言に尽き、観るものを圧倒。
そこで暮らす人々、暮らしそのものが垣間見えて、まるで映画と共にイランを旅しているかのような新しい没入感が味わえました。
と、真面目ぶった事をつらつら書き連ねましたが、ジグザグ道は1、2作目までが好き。
今作はホセインの求愛と求婚がしつこくて、観ていて胸焼けしそうになりました。
あれだけ無視し続けているのに隣でずーっと相手の祖母の悪口を言ったり、結婚生活や子供の未来予想図を1人で語り続けられると気持ち悪いかもしれない。
ホセインの鋼の精神に拍手。
327