青山

オリーブの林をぬけての青山のレビュー・感想・評価

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)
4.0

友達の家へノートを返しに行く少年を描いた純然たるフィクションの1作目『友達の家はどこ?』

その舞台の村が大地震に見舞われ、キアロスタミ監督(役の俳優)が主人公の少年の安否を訪ねるフェイクドキュメンタリー的な何かである2作目『そして人生は続く』

で、そのジグザグ道3部作の第3作が本作。
前作で印象的だった地震の翌日に結婚したカップルの挿話。そのシーンを演じた男女には、役の外側でとある因縁があり......という、前作よりもう一段上の階層に上がったメタフィクショナル・ラブストーリーです。

前作のキアロスタミ監督役とは異なりながらキアロスタミ監督本人ではないキアロスタミ監督役の男が登場。
この時点でもう物語の外の物語の外の物語の外の物語の外の......という合わせ鏡の逆みたいな無限が見えてきますが、実際監督役の男を撮る監督役の男を撮る監督役の男を撮る......と「監督役の男」が無限増殖したらなんらかのSFだなと愉快な気分になります。

しかし内容は、もはやどこが「内容」なのかも分からんけど、主役らしい男女が出てくる本筋に当たる部分は至極真っ当な結婚観の物語で、3部作の中でも一番わかりやすかった(自分に近い話題だから)です。

主人公の青年は、一目惚れした娘に結婚を申し込みますが家がないことから彼女の両親に断られます。しかし彼はそれでもしつこく付きまとう......。
まぁ日本だったら完全に通報モノですが、そこは文化の違い?と受け入れて......。彼の語る結婚観が面白かったです。というか身につまされる......。

また、本作では、一つのシーンの撮影が色んな理由で全然進まなかったり、話しかけてるのにガン無視されたりといったコントみたいに笑える場面も多くてそこも面白かった。

で、今回もラストのロングショットが印象的ですね。もう、長い!w
長々と同じ場所を移し続けてるんだけど、体を乗り出して見入っちゃう。うまい。で、説明のないハッピーエンド。そして、人生は続くのですね。うまい......。


そんなわけで、ジグザグ道3部作見終わっちゃいました。来月は『桜桃の味』もやるので楽しみです。
青山

青山