七沖

学校の怪談3の七沖のレビュー・感想・評価

学校の怪談3(1997年製作の映画)
3.5
〝その鏡をのぞいてはいけない。〟
公開当日、小学生の間で一大ブームを巻き起こした学校の怪談話をベースに製作されたシリーズ第3弾。シリーズものの宿命か、本作では変化をつけるべく舞台を学校の外にまで広げていて、そのせいもあり賛否両論ある作品だ。自分はホラーが本当にダメだが、この作品のことはファンタジー映画だと思っている。

病弱で運動会に参加できずに死んだ生徒・太一の無念が乗り移った鏡が倉庫から引っ張り出されたおかげで、生徒たちは妖怪だらけの鏡の世界に引き込まれてしまい…というストーリー。

「運命は自分で変える!」
「僕は学校ではビル・ゲイツの再来と讃えられているんです」
「俺だって好きでマザコンやってんじゃないんだよ!」
「早く行かないと泣いちゃうよ」
など、記憶に残る名&迷台詞が多い作品。シリーズ3作で比較してみると、妖怪のバリエーションが少なかったりそもそも怪異が妖怪じゃなかったりするのだが、何気にシリーズの中で一番好きだ(4だけはガチでホラーテイストなので未見)。
その理由は、シリーズで一番少年少女たちの描き分けがはっきりしているからだろう。キャラ被りや影がうすいキャラがいなくて、どの子も頑張れ!と応援できる。
特に女の子のキャラ配置は鉄板で、清楚可憐・ツンデレ・天真爛漫と物凄く分かりやすい。この辺りはさすが美少女の見せ方に定評のある金子修介監督だ。
男の子の配置も勇敢・コミカル担当の太っちょ・インテリ眼鏡と安定感抜群。

そしてBGMに聞き覚えがありすぎると思ったら、平成ガメラ3部作の大谷幸。そのままガメラ3で使われていてもおかしくないジワジワくるBGMが得体の知れない恐怖を煽る。明らかに前2作とは違った雰囲気を醸し出していた。

太一と子どもたちとの顛末など、シリーズおなじみの感動的なラストも健在。特にラストシーンは過去作にない恋愛要素も盛り込まれていて、爽やかな余韻が残る夏らしい作品だった。
七沖

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