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薔薇のスタビスキーのとぽとぽのレビュー・感想・評価

薔薇のスタビスキー(1973年製作の映画)
3.5
嘘なら本当らしくするんだよ

幸福は一瞬、快楽は一生かかる。ホテル住まいで、いつも胸に薔薇を挿している実業家を気取った詐欺師。政治家や警察も取り込んでブイブイ言わせて手広くビジネスを展開するタイトルロールの主人公。彼はフランス国籍がなくて住所不定。アラン・レネ × ジャン=ポール・ベルモンドの描く実話を基にしたドラマ。誰も僕の華々しい過去を知らない。本人は影響を否定しながらも生真面目だった父の影が付きまとう。
死ぬ夢と女性に贈る花。何といってもスタイリッシュなイヴ・サンローランの衣装。衣装どれも欲しくなっちゃう。襟大きく取られていて、ダブルのジャケットいいな。けど、どれだけ綺麗な服着ていてもポイ捨てした瞬間に成り下がるぞってことだけは言いたい。過剰にキラキラ光り輝く宝石たち。にしてもホテルマンが子供ばっかり。
アレクサンドルとアレット。トロツキーの亡命から始まる極左に対する国の在り方や方針。同時代を生き間接的に関わる遠因となる。周囲の人々が皆証言していく語り口と、終盤の振り返り方式/回想チックな流れ。彼の没落を予感した。盛者必衰の理を表す…監視生活。奴は拳銃自殺した父親と同じ末路さ。自身と一緒に一つの時代に終止符を打った幽霊。

二重発行
P.S. 使用人がサーヴァントジャケット着ていた
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