レク

第9地区のレクのネタバレレビュー・内容・結末

第9地区(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

南アフリカの人種差別や移民問題をエイリアンに置き換えた社会風刺。
「1日120件の殺人事件が起こる」「夜間の外出で強盗に遭う確立は150%」とまで言われている南アフリカのヨハネスブルク。
そういった意味でも、この舞台こそがこの映画の魅力でもあります。
上空に浮かぶ宇宙船には圧巻。

まずこの映画で特徴的なのが、ニュース映像や密着ドキュメンタリーのような撮影方法。
これによってSFという非日常的なものが日常性を帯びます。
そこからの展開が、いざ自分が迫害される立場になったら?
その過程をエイリアン(異形なもの)に変化していくという描き方がおもしろい。

それと同時に、モキュメンタリーの社会派ドラマからSFアクションにスムーズにジャンル跨ぎしちゃう。
たとえ肉体がエイリアンに変貌しても心は人間であることはラストでも見て分かるのだが、それによって彼ら(エイリアン=迫害される側)も人間であるという広義のメッセージに繋げて社会風刺としているのが巧い。

ブロムカンプのフィルモグラフィーは何本か観てますが、基本的に真面目すぎるものよりもおふざけ要素を入れた方が彼はイキイキと撮れそうな気がする。
あと、彼は人外を使って人間らしさを描くのが上手いと思ってて。
言い換えれば人間以外のものに人の本質を求めてるというか。
なので、予算ありきだけどSF設定と脚本の相性、彼の作家性が合えば良作を量産できる監督だと思っている。
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