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第9地区のonotoramanのネタバレレビュー・内容・結末

第9地区(2009年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

すごい映画だった。生々しくしたアバターって感じ。人間は異生物に対してこんなにも残酷にはならないと信じたいよ。

モキュメンタリー部分がかなり成功してる。エイリアンが背景に見切れてるのとかかなり効果的。そして主人公の見せ方がすごい上手い。ゴーンガールとか、この頃この手法流行ってたのかな。
ていうかこの主人公がめちゃくちゃいい。お調子者で、エイリアン嘲ってて、丁度良い腹立たしさと小物感。その後の不幸のジェットコースターが心地よく乗れるのはこの主人公しかいない(それでも相当だけど)。まあ後半はもう少し良い奴でいて欲しかったけど。正当防衛で人殺しまくるのはいいとして仲間のエイリアン殴るか?生のためにそこまでしちゃうのがこの作品っぽくもあるけど…。
それにしても展開がすごかった。主人公がエイリアン化する話とは…と思ってたら、周りの人間の酷いこと酷いこと。そこから逃げ出したり、また乗り込んだり、また捕まったり。そして最後はエイリアン武器でドンパチなのだから、息つく暇ない超展開。これが二時間弱なのが信じられない。
不満があるとすれば、やっぱ後半の主人公が少し共感に欠けることと、エイリアンがなに考えてんのかわからなすぎること。仲間を思いやる描写や人間より仁義に厚そうなセリフがある一方で、知能低そうだったり人間を無遠慮に殺したり…そこはどっちかハッキリするか、完全に思考原理が違うとかして欲しかった。

それにしても時代によるエイリアン観の変遷は面白い。最初は宇宙戦争みたいな侵略者、それからE・Tみたいにコミュニケーションしたり友達になったり。それがアバターや第9地区では人間の愚かさを映し出す鏡になる。中国で大ヒットした小説の三体ではもはや救世主みたいな扱いもされてて、これからのエイリアンがどう描かれるのか楽しみで仕方ない。
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