一人旅

キングピン/ストライクへの道の一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
ピーター・ファレリー&ボビー・ファレリー監督作。

コメディの名手:ファレリー兄弟が1996年に共同で演出を手掛けた90年代コメディ映画の隠れた名作で、ボーリング大会での優勝を目指し旅する男女3人の顛末を描きます。

嘗てはボーリングのアイオワ州チャンピオンとして名を馳せたものの、ライバル選手のせいで利き手を潰されて以降はボーリングを諦めすっかり落ちぶれてしまった独身中年男ロイと、彼にボーリングの才能を見出されたアーミッシュの純朴な男イシュマエルが、ネバダ州リノで開催される優勝賞金100万ドルのボーリング大会で優勝すべく旅を繰り広げる様子を、ひょんなことから二人の旅に同行することとなった紅一点のセクシー美女:クラウディアを巻き込みつつ軽快に描き出したファレリー流ロードコメディの愛すべき名作であります。

映画では様々なスポーツが題材にされますが、“ボーリング”を題材にした作品は数少ないのではないでしょうか。本作は、金に困った男女3人組がボーリング大会での一攫千金というアメリカンドリームの実現に向かって突き進んでいくロードコメディとなっていて、賭けボーリングで軍資金を集めながらネバダ州リノを目指す3人組の珍道中がドタバタ騒動的に活写されます。主人公のロイとライバル選手との因縁&対決や、ヒロインのクラウディアとDV彼氏とのいざこざ&逃走劇、そしてイシュマエルの出自であるアーミッシュの独特の生活様式&文化&信仰…と物語の中心人物となる男女3人それぞれのキャラクターの掘り下げ&エピソードがきちんと盛り込まれていて愉しさ満点ですし、ひょんなことから旅を始めて意気投合した3人組の友情(&愛情)が爽やかな余韻を残してくれます。

そして主演のウディ・ハレルソン、相棒ランディ・クエイド、紅一点ヴァネッサ・エンジェルが息の合ったトリオ芸を魅せて笑わせてくれますし、主人公の因縁のライバルに扮したハリウッド屈指の“脱力系”ことビル・マーレイの飄々とした立ち回りは助演男優賞級の名演技であります。
一人旅

一人旅