inazuma

「A」のinazumaのレビュー・感想・評価

「A」(1998年製作の映画)
4.8
地下鉄サリン事件後のオウム真理教・広報の荒木浩を追ったドキュメンタリー。

もはやドキュメンタリーの枠を飛び越え
一種のエンタメ映画に昇華しちゃってる気がします。本作の白眉ともいえる公安警察に絡まれる場面がまさに。
警察側が一方的に暴力を振るっておきながら自ら転んで「足が痛い」と喚く。これを転び公妨というみたいですが、こんなコントみたいなことが現実に行われていたという笑撃!公安も必死ではあるのでしょうが、いくらなんでも汚いしみっともない。そんな日本の汚点に本作品を武器に立ち向かう様は観てて爽快感を覚えました。ドキュメンタリー映画ではなかなか味わえない感覚。

事件発生当時は幼稚園児でしたが、象のかぶり物が進行するもようや教祖による歌は脳にこびりつき、大人になってあれが現実に起こっていたことを思うと恐怖すると同時に興味もそそられます。信者の心酔ぶりがとにかく怖かった。でも本作を観ると、実は信者でない人たち(マスコミと警察)の方が怖かった。信じる者を失っても信じ抜いて生きていこうとする信者の人たちの方が何千倍もまともにみえました。
オウム真理教事件の被害者の会会長が荒木氏へかける言葉がとても印象的でした。
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