法月

「A」の法月のレビュー・感想・評価

「A」(1998年製作の映画)
1.0
アマプラで目についたので鑑賞。

今、これを観る意義、難しい。
あの頃の空気、蘇る。
が、これを観ても少しもオウムが起こした数々の事件の総括にはならない。

麻原始め、ほとんどの幹部が凶悪事件を起こして逮捕された後も、残った信者は淡々と、ひょうひょうとしてる。
まるで罪悪感など感じてないようだ。
大事なのは自身の修行、解脱への可能性のみ。
全く共感できない。できるわけがない。

この映画の主人公は荒木広報部長だ。
京大卒のヒョロ眼鏡君。本来ならトップに立つ人間ではない、あぁ言えば上祐のようなアクがない。

「キスしたことは?」
「ないですね」
「性体験は?」
「まぁ、ないでしょう(微笑み)」
でしょうね(゜-゜)

彼らが到達したいと願っている幸福とは?
いや、そもそも幸福になることをも否定してるのか?
解脱? 煩悩から解放されること?
正味なこと言えば、煩悩から解放されるためには死ぬしかないじゃん。
死んだらみんな仏様じゃん。

「母親が心配して電話かけてきました。オウムを憎んでる人もいっぱいいるから気を付けて、と(微笑み)。自分はせっかく貰った命だから、自分の生を全うしたいと思ってます。」
あのさぁ、サリンで殺された人たちも、坂本弁護士ご一家もそう思ってたに違いないだろ?そうだろ??... 開いた口が塞がりませんよ。

そもそもあらゆる宗教にアレルギー持ってるような自分みたいな人間には理解不能でしたよ、残念ながら。
ただ、イライラだけが残りました、残念。

この映画の監督、森達也氏の立ち位置も疑問だなぁ。

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