カネコ

マイ・プライベート・アイダホのカネコのレビュー・感想・評価

3.6
“ジョン・f・ドノヴァンの死と生”を観てこちらがオマージュ元だと聞いたので再鑑賞🎥
前に観たのは中学生の時。リバーファン(当時ギリギリ存命だった)の友達にお勧めされて観たけど自分はジョニーデップファンだったし、リバー演じるマイクの生い立ちの壮絶さと男娼の設定に気を取られていまいちノれなかった。
アイダホについてはこの映画のタイトルになっている事とポテトしかイメージ無いけど作中でリバーもポテトの州って言っていたので良しとする🥔

子供の頃に母親から捨てられて施設で育ったマイクはポートランドで男娼をしながら日銭を稼いでいる。ナルコレプシーを患っていてストレスがかかると道端でもどこでと気絶するように眠ってしまう。
倒れた時に助けてくれるのは専らキアヌリーブズ演じる親友のスコット。

スコットは市長の息子。
21歳の誕生日には真面目になって父を見返すと行って家出中。マイクと同じ男娼で遊ぶ金を稼いでいる。

話自体はよくあるライフステージの変化からの友人との別離で誰もが経験する事だけどそこにマイクのスコットに対する恋愛感情が絡む事で切なさが増す。

“心配しないで。すべてうまくいくわ”

数少ない記憶の中の母の言葉。
その言葉を支えに過酷な人生を生きてきたマイクにとってスコットの存在もまた母の言葉と同じくらい無くてはならないものだった。
マイクのスコットに対する感情は恋愛感情と言うよりも母親に対する慕情に似てる。
マイクはスコットが時が来たら自分達とは違う道に進む事を知っているしその日が近い事も分かっている。
それでも母のように自分の元から去ってしまうスコットに自分の気持ちを打ち明けずにいられない。切ない。
焚き火を囲んでスコットに告白するシーンでマイクの気持ちにスコットは応えないけれど最大限の優しさを見せている。

この後スコットはローマで出会った少女カルミラと簡単に恋に落ち、マイクとの距離は急速に遠ざかっていく。ローマに一人残されるマイク。切ない。

ラストシーンの車は兄でマイクもスコットも最後は家族の元に戻る。

マイクのその後は描かれないけどあまり長く生きれなさそうな雰囲気かな。
同じような青春映画で大好きなトレスポで例えるとマイクはレントンのようなズル賢さもシックボーイやベグビーのタフさも無い。トミーのようにエイズとか発作で倒れて車に、、、とかで早死にしそうな儚さがあった。リバーフェニックスのように。

対してスコットは完全にストリートキッズとは離れて成功もするでしょう。
カルミラとの仲が冷えてきた頃に男娼を買う側になりそうだな。そして買う度にマイクの事を思い出すんだ。

ジョン・f・ドノヴァンの死と生のレビューでも触れたけど今作をオマージュしている作品だったので二つセットで観るのがやっぱり良い。
結局母親と会えなかったマイクの思いがジョン・f〜で昇華されたような気分になるし、ジョンの死はリバーフェニックスの死と重なる。
90〜2010年代のゲイに対する捉え方の変化も分かりやすい。


それにしてもキアヌリーブズの若き日の美しさ。リバーの独特なアップノーズの横顔も良。少年の透明感の表現はサント監督素晴らしいと思う。

男娼仲間でたむろしているダイナー?カフェ?が赤のインテリアでタイ料理なんか出してるっぽいのが退廃的でお洒落な空気を出てる。
少年の初体験インタビューはやけに生々しかったけどあれは実話?
それとリバーのアメカジ古着ファッションがお洒落。オレンジのセットアップ着せたの天才だしニットキャップの被り方も可愛い。今90年代リバイバルなのでZ世代にもリバーの着こなしは刺さると思う。

ウド・キアーのホテルでのダンスとそれを見るリバーの虚無顔が今作一番の面白ポイント。
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