serina

マイ・プライベート・アイダホのserinaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

孤高の一匹オオカミ系男二人のどことなく寂しいロードフィルム。旅は、新しい景色を見せて、新しい匂いを嗅がせ、新しい人と出会わせる。形式的に行われるスコットのお父さんの葬式の隣で行われるサイケデリックな悪い教えばかり吹き込む cold as stoneで死んでったボブの葬式がすごく好きだった。そこにいる全員が死を悲しみ、怒り、行き場のない思いを爆発させる、不謹慎?非道理的?死んだ人間には、葬式の言葉も思いも通じない。葬式は、残された人たちのものだと思う。だからこそ、あのシーンがすごく羨ましかったし、感動した。

お尻の部分が摩擦で擦り切れてパンツがはみ出てるジーンズに、ジングルベルが生えた靴、とりあえずおかしなファッションがいい感じのテイストで登場してくるの逆におしゃれなの笑う。情交のシーンが静止画風な演出なのが独特でいいね、もちろんそこもお気に入り。

お気に入りの銃をベッドまで持って行ったり、鍋の野菜を混ぜるのに使った挙句、付き合ってる男とのデート中、映画館の中で男の口に銃口向けて撃った。ポップコーンは床に落ちて、血に染まる。カスターニャ。

不器用で欲しいものを手に入れるどころか持ってるものを奪われてでも、ただ生きる人間ってすごくしぶとくて憧れる。欲望もなく、奪われても歩き続ける人間になりたくなる。
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