たむランボー怒りの脱出

黄色いからすのたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

黄色いからす(1957年製作の映画)
4.0
初・五所平之助。ちょっとこの生々しさは何なんだろう。何かふとしたことで家庭の円満な空気がプチンと途切れて険悪になるのではないかという予感にみたされた画面。親に折檻されてる子供の泣き声もガチすぎる。母の胸に手をあて顔をじっと見つめる男の子の顔を写したカットとその後の母に抱きついて甘える引きの画にしても安易な想像でいえば近親相姦を匂わせるが、むしろそこではなくて、いつ父がその場(父を除け者にして楽しくやっている場面)を見てしまうのかという、不在の父の存在に思い当たっての恐怖が主眼だろう。「円満な空気」とは結局「父が怒っていない」ということの婉曲的な表現でしかない。冤罪であっても子供に弁解の機会は与えられず「父に謝ればとりあえず丸くおさまる」という家父長制の平常運転、家庭における民主主義の不可能性を何度も反復して見せられる。子供のフラストレーションは押入れや納屋でネズミやカラスを飼うという別の家を再生産することで昇華される(?)。不条理に抵抗した子供は「お父さんのうそつき 死んじまえ」の書状&家出を敢行。家出はしかし子供の懐事情的に厳しく、その後すぐ理解者である隣のおばさん(田中絹代)の家に転がりこむことで、実の両親に我が子の亡命の事実を突きつける。「よその家の子供になりたい」という素直な願い(民主主義的には「別の候補に入れた」という事実)を目の当たりにして父と母は反省、めでたしめでたし…?子供の抵抗手段としては単なる家出よりも亡命の方がより効果的っぽい!!