りょうすけ

かくも長き不在のりょうすけのレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
3.8
「かくも長き不在」

カフェを営む女がある日出会したのは16年前に姿を消した夫に瓜二つな浮浪者。夫ではないかもしれないとも思いながら、少しずつ距離を近づけていく女。周りは夫であることを否定しながらも彼女の自信はどんどん高まっていく。

上映時間は100分弱と短いが、一つ一つのシーンが長回しで非常にゆっくり展開される。なので物語が動き始めるまでの1時間くらいはかなり退屈かもしれない。残り時間の追い上げがすごい。

本作の見所としては終盤のダンスシーンからラストまでの流れだと思う。妻テレーズを演じたアリダ・ヴァリのダンスシーンでの表情は忘れられない。

本作のDVDパッケージのキャッチコピーである「彼の名前を一生忘れない“アルベール・ラングロワ”」この意味が映画の中でわかるシーンは非常に残酷で印象的な場面である。

戦争が物理的な損傷を人々に与えるだけでなく、心をまでも傷つけてしまうこと。その恐ろしさを本作は訴えているのではないかと思う。
りょうすけ

りょうすけ