Shirorin

かくも長き不在のShirorinのレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
4.2
パルム・ドール受賞。

パリ郊外でカフェを営むテレーズ(アリダ・ヴァリ)はある日、店の前を通る浮浪者に目を止める。その男は16年前にゲシュタポに強制連行され、行方不明になった夫アルベールにそっくりだったのだ。しかし、その男は記憶喪失で…というストーリー。


16年という歳月。
20歳は36歳、30歳は46歳に…
うーん…そりゃ、風貌も体型も、音楽の流行りも変われば好みだって変わるだろう。

16年ぶりに似ている人が現れたら、愛したその人だと確信出来るだろうか…。
この時代だとDNA判定もできないだろうし…筆跡はどうだろう?
とか、どうしたら同じ人だと判定できるか一所懸命考えてしまった💧

テレーズには、もう新しいイイ人がいたのに、浮浪者の記憶を取り戻そうと必死になる。テレーズの真剣な目で真っ直ぐに見られたら、つい責められているように感じて、目を背けたくなってしまうなぁ。

それでも、2人で食事して、音楽を聞いて、ダンスをして…この映画の中で一番幸せなとき。

愛しそうに夫(らしき)の頭を撫でる。
ハッとするテレーズ。
鏡越しの傷痕…。

やっぱり夫なのだ!!

そして悲しい結末。。


戦争のシーンが全く出ないのに、こんなに悲しい戦争の傷痕を描いた反戦映画は見たことがない。傑作。
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