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水曜日に抱かれる女のakrutmのレビュー・感想・評価

水曜日に抱かれる女(1993年製作の映画)
3.6
ゾーイ・カザンの父親で脚本家のニコラス・カザンの監督デビュー作となる官能サスペンス映画。『ポンヌフの恋人』などレオス・カラックス監督とのコンビで有名なジャン=イヴ・エスコフィエが撮影監督を担当している。

いかにもB級映画のような邦題から受ける印象とは異なり、秀作とは言えないまでも、サスペンス映画としてかなりまともな作品であった。離婚したばかりの建築家の男性が、画廊で知り合った魅力的な女性と再婚する。しかし、そのうちにその女性の過去に疑念が生じ、真実を追求していくうちに、次々と嘘が明らかになっていく。疑心暗鬼になった主人公の男性をさらに追い詰めるように、彼女は不審な行動を取るようになり、彼女の罠にはまっていく。

主人公のレイを演じているのがジェームズ・スペイダーなので、主人公自身に裏があるように思えてしまうというミスキャスト感を最初は感じたが、実はこのキャスティングは成功であった。彼の演技がなければ、この作品は成り立たないと思う。一方、妻レナを演じているメッチェン・アミックも、こういう魔性の女的な役柄が似合っている。『レース』での演技が印象に残るベス・アームストロングが、レイの元妻の友人役で出演している。

結末はちょっとあっけない気もするが、サスペンスとしての完成度は悪くはない。でも、最後まで元妻(を演じたキャスリーン・ヨークもなかなか綺麗)が夢に出てくるのは何を暗示しているのだろうか。元妻と離婚するに至った背景は一切描かれていないだけに、思わせぶりな演出がイマイチよくわからなかった。すべてが夢落ちってわけじゃないだろうに。
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