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日本のいちばん長い日のぴーのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.1
やばいな、これは。保守思想に目覚めそうになるくらいやばい。右翼はダメ。

とはいえまずは、単に映画としてびっくりするぐらいよく撮れている。
色んなおじさんが、色んなおじさんを介したりして、色んなおじさんと喋ってるだけ、
みたいな映像が2時間半強も続くのに全く退屈しない。
カットの作り、カメラの動き、照明の変化…手を替え品を替え、白黒でも飽きさせない映像として作り込まれている。
音の使い方(使わないという選択含む)もかなり印象的で、劇場で観たらとんでもない緊迫感だっただろうな。

本もよく書けていて印象的なセリフがいくつも。
「この地球上から日本が消えてしまってもいいというのか!!!」
反乱軍がこれほどまでに切実なリアリティを以ってして憤り、行動したのだというのが伝わる。

やはり昔の日本映画はすごかったんだな、と現代日本の窮状を嘆くしかないのであった。。

とにかく作品としての出来もそうだし、67年に創立35周年記念作品としてこれを作った東宝も偉かった。
戦闘機の映像なんかはかなり実際のもの(多分)が使われていて、資料的な面でも楽しめる。

三船敏郎に「生き残った人々が勤勉に働くしかない」と言わせるように、高度経済成長期の真っ只中である当時のマインドを反映してて良かった。
し、やはり戦争と当時の“今”のリアルを接続して語るという意味でも優れた作品だったんだろうな。


近頃(まともな)保守思想、正しいナショナリズムの大切さみたいなものを考えるきっかけが多く、このタイミングで観て良かったなーという。

恥ずかしながら日本史が本当に嫌い(教科として)で、正直8月14から15日にかけて一部陸軍の反逆が起こっていたことすら知らなかったので、単純に驚いた。
し、今こそきちんと戦争について勉強しなおさないとなあという気持ちにも。


被害/加害は言い出したらキリがないけど、原爆だけは絶対ダメだった。今でもやっぱり強くそう思う。
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