べらし

日本のいちばん長い日のべらしのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.2
傑作なんだが、この監督の最高傑作ではない
理由はこの監督がこの時点で名のある俳優によって演じられた登場人物の8割までを、ときには脚本に反してまでも救いようのない馬鹿だとみなして演出しているからで、ルーティン・ワークとして作られたわが国のこの手の作品でそういうものは他に例がないと思う
この監督は庵野秀明とは格が違うのだから、単に人物を上手く捌けているとか、持続する緊迫感とかのみで最高傑作という扱いにするのは失礼だ

今回n回目の鑑賞に耐えてこの映画で唯一以前と同じく心を揺さぶったのは、何も知らずに飛び立って死んでいく特攻隊の若者たちだった
どうでもいい登場人物の8割がどうでもいいことに拘っていたせいで無駄死してしまったどうでもよくない人たち

この映画を正しく汲み取って現代を生きるわれわれが何か語るべきとしたら、まずそこからだろう
尊い犠牲の上に平和が築かれたなど大嘘だ、と
べらし

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