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沖縄やくざ戦争のデニロのレビュー・感想・評価

沖縄やくざ戦争(1976年製作の映画)
3.5
折角、新藤恵美が情夫松方弘樹の窮地を救わんと東京トルコに身を沈め金を作ろうとする設定を作ったのだから、いや、全然エモーショナルじゃない方向に流れてしまって、せめて、姐さんに思い焦がれている三下矢吹二朗辺りが店に出向いて新藤恵美を指名しむしゃぶりつくという情感のある挿話のひとつも入れて欲しかった、等と勝手に思ってしまう。

1971年、アメリカ合衆国から沖縄が日本国に返還される前年の沖縄やくざ世界の話。実話に基づいたドラマということで実に分かりにくく拵えている。東映の実録路線とはそうしたものだと思えばよいのだが。とはいえ、那覇とゴザのやくざが大同団結して日本国のやくざの進出を食い止めるということらしいが、彼ら沖縄やくざが妙な関西弁の言葉遣いで会議をしていて、当初、織本順吉と成田三樹夫など那覇グループは関西のやくざなのかと思ってしまった。

大同団結どころか、事業の拡張のためには長いものに巻かれ朱に交わって赤くなる者と、日本サッカー代表の様に守り抜くという一点から状況を一変させる一点突破全面展開主義派に分かれて無茶苦茶になる。その有様を狙いすましたように弄るのが、実録路線で関西の若頭と言えば梅宮辰夫。やはり権謀術数は大きい方が強いのか。

松方弘樹、千葉真一、渡瀬恒彦、室田日出夫、成田三樹夫、梅宮辰夫という食傷気味の面子の中で地井武男の狡猾振りがぎらぎらと光っている一篇。

1976年製作公開。脚本高田宏治 、神波史男。監督中島貞夫。

映画館Stranger さとみんPresents Stranger 東映スペシャルセレクション「時代劇から任侠映画へ」 にて
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