Jeffrey

モデル連続殺人!のJeffreyのレビュー・感想・評価

モデル連続殺人!(1963年製作の映画)
3.0
「モデル連続殺人!」

冒頭、真夜中の夜道を歩く女。その背後に薄気味悪い顔隠しの男の姿がある。ファッションモデルの彼女、惨殺、1冊の日記帳、モデル仲間、風呂場、静寂、気配、絞殺、殴殺、窒息死、溺死。今、鮮やかな手口で女性が殺されていく…本作は1964年に、マリオ・バーヴァがハンガリー出身の女優エヴァ・バルトークを主演に向かえ監督したイタリアホラー映画で、この度BDBOXが発売され初鑑賞したが面白い。イタリア映画の大きなジャンルであるジャッロ映画の代表作とされ、幻想的な映像美、謎の殺人者による残酷な殺人とジャッロ映画の原型を完成させたもので、ダリオ・アルジェントをはじめ、多くの彼の意思を継ぐ監督たちに大きな影響を与えたファッション・モデルの美女たちが次々と謎の覆面をした殺人者に殺されていく話である。

さて、物語はファッションモデルのイザベルが不気味で異様な、まるで別の宇宙に住んでいるかのような何者かに惨殺される大事件が発生した。彼女は生前、1冊の日記帳を付けていた。その日記帳は彼女のモデル仲間に次々と渡って行くが、彼女たちもまた得体の知れない"奴"に惨殺されていく。どうやら、その日記帳の内容を知られると困る人物の仕業のようだ…と簡単に説明するとこんな感じで、こうまで何者かに残虐な形で次々殺されていく様子を鮮やかなカラー撮影で描いたものを売りにしたいわゆるジャッロ映画は現代的なホラー映画の先駆けとなっていると思われる。殺人をめぐる描写には多彩な趣向が詰められていてよかった。特にバスルームのシーンは最も印象的だろう。この作品はお色気や恐怖を混ぜたようなサスペンス映画で、映画の終盤まで犯人がわからない推理劇としてはなかなかいろんなものを取り入れていてがんばっている作品にも思える。
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