偏愛するマリオ・バーヴァ作品。マリオ・バーヴァの中では凡作であるが、色彩感覚、ホラー演出は流石の職人技。普通に楽しめた一作だった。
あるモデルスタジオのモデルの美女たちだけが殺されていく連続殺人を皮切りに、彼女たちの死に様の残酷さや犯人像が徐々に浮かび上がってくる。
短い割に冗長に感じる部分が多く、特に犯人が分かってから中だるみを感じる。もう少しソリッドに進めてほしかったところ。
拗れた愛の物語でもあり、人間の欲というものの愚かさを描いてもいる。
古美術商の家という設定を上手く生かした殺し方、モデルスタジオということで全身タイツのようなマネキンが上手く使われている。
マリオ・バーヴァは気持ちがいいホラー表現と色彩感覚、後味を残す終わり方が秀逸だと思っているのだが、本作もその例に漏れず魅力的な作品であった。とはいえ『リサの悪魔』のように宗教的、哲学的領域まで踏み込んだ展開はなく物足りなさはある。
マリオ・バーヴァが大好きな自分としては文句はないが、彼の作品群の中ではまあ凡作という位置づけかなぁ。もっとできる人だと思っているので少し残念。面白いは面白いけどね。