尿道流れ者

ダイナマイトどんどんの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)
3.5
社会の圧力に押されるヤクザが公に縄張り争いを出来なくなり、アメリカナイズされていく社会の中で民主主義的発想で野球で争うというコメディ映画。

冒頭からやけにハイな菅原文太の殴り込みと野球が絡み出す展開はスラップスティック的な笑いでとても楽しい。菅原文太所属の岡源組にとって一番の敵である橋伝組とのライバル構造はスポ根物の王道ともいえる関係で、自分達の組員で戦う岡源組に対して橋伝組は金で名のある野球経験者を揃えていく。岡源組の組員達は野球をやったことがあってもみんな下手くそで戦いは劣勢だが、菅原文太の悪知恵でなんとか勝っていく。そして、そんな岡源組に現れた最強の助っ人が北大路欣也。菅原文太と北大路欣也は飲み屋の女将との三角関係にあり、仲違いしながらも戦っていくが・・・という展開。

橋伝組の組長は金子信雄でいやらしい口調は山守親分のまんま。また、その橋伝組のピッチャーは田中邦衛だったりと仁義ファミリーも出ている。

ヤクザコメディとしては冒頭のタイトルがでるまでしかかっちりと機能してない気がするが、試合にむかってチームがまとまっていく様子は面白い。ただ、菅原文太と北大路欣也の関係にほぼ焦点が当てられているので、チームとしてのドラマはあまりないのが残念。
平和的な争いとして野球をするのだが、ヤクザ同士で平和的な野球が出来るわけも無く、暴力描写も多い。もう少ししっかりとした試合をみてみたかった。

ラストシーンは爽やかさたっぷりの素晴らしい結末で、男の友情と戦いはやっぱり良いものだと思った。