バナンザ

フォレスト・ガンプ/一期一会のバナンザのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

この作品は1960年から1980年代のアメリア史が語る政治的暗殺や汚職・戦争・平和活動・差別主義者などを忠実に組み込みながら、恋愛や友情・スポーツ・病・母からの愛などを孕んだ人間の一生を、フォレストガンプという従順でまっすぐな男性を通じて描いている。物語の半分にあたるガンプの半生をバス停のベンチで語り、幼馴染のジェミーと結婚ののち、バス停から二人の子供フォレストガンプを送り出して物語は終わる。

今までアメリカが歩んできた歴史を一人に人間を通じて示し、未来を擬人化したフォレストガンプJrをバスで送り出している。未来へのメッセージのように感じられるセリフがちりばめられている作品でもあった。
«過去を捨ててから前に進みなさい»
«必要以上の金は無駄な金»
«人生はチョコレートの箱のようなもの 食べるまで中身が分からない»
«奇跡は毎日起こる»

序盤では、«靴で人が分かる»というセリフが出てくる。これはどのような人生を歩んできたかが表れるものが靴であると言うことではないかと思った。ジェミーにもらった靴を履き、バス停で半生を語るガンプの靴は泥だらけであった。ガンプが刻んできた努力を表しているとともに、«人生は運命に定められているもの、風によってさまようもの、たぶんその両方だろう»と言う言葉が示すように、どんな道を歩いてきたとしても変わらないものがあると言うことを示しているのではないかと感じた。

ジェミーが感染症によって亡くなる前にガンプにベトナムでの戦争は怖くなかったか尋ねると、ガンプは美しいものについて語り始める。幼いころからガンプに恐怖から逃げることを主張してきたジェシーによっては、たくましく成長しているガンプが愛おしかったのではないか。作品では走ること«RUN»と言う言葉をとても大事にしていたような気がする。初めは補助なしでは歩くことが出来なかったが、恐怖から逃げる(いじめっ子からの逃走)ことで走れることを発見し、アメフト選手としての道が開けた。ベトナムで前線から後退したことで(前線からの逃走)によって、結果的にガンプは勲章を授かった。グリーンボウからジェミーが出て言って、ガンプが走り始めたこと(恋人との現実からの逃走)は多くの人々に希望を与えた。ジェミーがグリーンボウを離れたのも一種の成長のために逃走だったのではないか。

他にも、フォークシンガーになったジェミーがガンプから離れた理由やジェミーの父の家を解体した理由など、アメリカに蔓延っていた社会的問題だけでなく、大きな物語としての深い意味があると考えると、再度鑑賞して出来事の意味を咀嚼しなくてはいけない。

人生において、「物事を始めるとき、綿密な計画や理由など必要ない」。まさに、人生はチョコレート箱だと感じた。
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