キリコ

恋におちてのキリコのレビュー・感想・評価

恋におちて(1984年製作の映画)
3.8
デ・ニーロとメリル・ストリープがプラトニックなW不倫をする話。
「いかにも」なラブストーリーを、自然にそこにあるものとして見せている主演二人の演技・演出が非常に素晴らしかった。恋愛モノがあまり好きではない(むしろ嫌い)でも楽しめた。キスシーンで「ゲェーッ!?ここで!?」とはなったけど……。

まずオープニングで引き込まれた。これから恋愛関係になる二人が、お互いに気付くことはないけれども、同じ場所で同じ時間に同じような行動をとっていた……という演出が、二人の運命が交錯していく表現として優れていた。名俳優の演じる日常は何も起きなくてもおもしろい。ずっと見ていられる。

夫婦関係があまりにリアル。小さな感情表現や台詞から、冷静で常識的な意思疎通ができているものの、心から通じあっているとは思えず、関係が冷えつつある(もしくは最初から燃え上がるような感情がなかった)夫婦だとわかる。また、そのような関係変化の理由は、それぞれ子供がいるから/いないから であるとも読み取れる。関係悪化の原因に幅を持たせていたのもよかった。

主演二人の配偶者が、どちらもわりと早期に妻/夫の不倫を確信しているらしいのもいい。「どこの夫婦も愛なんてないのに」が怖すぎ。

別れた二人が振り返ってお互いの姿を探すといったクサくなりがちなシーンも、それぞれが視線をやるタイミングがリアルですごかった。演技ってすごい!

メリル・ストリープの目や肌がとても綺麗で見蕩れてしまった。
キリコ

キリコ