しろくま

スパイダーマン2のしろくまのレビュー・感想・評価

スパイダーマン2(2004年製作の映画)
4.0
2022.02.03/027/図書館DVD
ピーターが憧れるオクタビアス博士が推進する核融合プロジェクト。博士は放射線制御の金属アームを装着し核融合の実験を行うが失敗。アームに神経を乗っ取られてしまう。

今回サム・ライミ版のスパイダーマン3部作を観直して感じたのは、スパイダーマンが戦うヴィランが、最初から〝悪〟に染まっていた訳ではないということ。

善と悪は対極にあるものの、〝大いなる力〟を持った時、自制することができなければ、あっという間に善が悪に変わってしまう。第1作のハリーの父親がそうだった。研究中の「身体能力増強薬」を飲んだことで狂暴になるが、彼はそのことを覚えていない。善と悪の2つの心に揺れながらも解任を宣告されたとき、失意と共に大きな怒りを感じ、〝グリーン・ゴブリン〟となり、会社役員を抹殺してしまう。

本作のオクタビアス博士も人格者であったが、アームに神経を乗っ取られたことで〝ドクター・オクトパス〟となり、実験を続けたいという欲望に勝てず、資金集めのために銀行を襲う。

第3作では、娘に会うために刑務所から脱獄してきたフリントは、実験場に迷い込んだ結果、体が砂状になって〝サンドマン〟となり、娘の治療費欲しさに、現金輸送車を襲う。

彼らが望んで手に入れた〝大いなる力〟ではないが、〝大いなる力〟を手に入れたとたん、怒りや欲望で、歯止めがきかなくなってしまっているのが恐ろしい。

善と悪は表裏一体。蜘蛛に噛まれたことで〝大いなる力〟を得たピーターも、一歩間違えば、ヴィランになっていてもおかしくない。それを食い止めたのは、ベンおじさんが遺した〝大いなる力には、大いなる責任が伴う〟という言葉を守ろうとするピーターに強い意志があったからに違いない。

本作では、ピーターの親友ハリーは、父の幻覚に復讐をするように告げられる。彼もまた〝大いなる力〟を悪に使うのか…。
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