メリットは一切ない、だからこそ色濃く浮かび上がる時がある。
ヒーローの大前提！自己犠牲の精神ってやつが！
ヒーロー映画の2作目は、オリジンを描く時間を葛藤に充てられるのでより物語に深みが出る。
前作でスパイダーマンとして生きる決意をしたピーターに待っていたのはヒーローと一般人との両立の困難さだった。
スパイダーマンでいる人生に疑問を持ち、一度スパイダーマンを捨てるのが印象的。
しかし、力を失ってなお火事で燃える家の中に飛び込むのが”ヒーローの性質”を表す。
今作のテーマ「大切なものを失ってでも授かった者はそれを人のために使うべきだ」に繋がっていく。
ヒーローの存在は良くも悪くも世界の形を歪めてしまう。
スパイダーマンが存在すればその家族・友人・恋人に危害が及ぶ、スパイダーマンが消えれば街の治安が悪化する。
ピーターがスパイダーマンになればピーターの人生は崩れていき、ピーターの人生が充実すれば不幸になる人が増える。
その二律背反に苦しめられる主人公という構成が面白く美しい。
極めつけはMJとの関係。
スパイダーマンにならなければ距離を縮めることは無かったが、スパイダーマンじゃなければ前作の最後の段階で付き合えていたという構図。
MJもスパイダーマン＝ピーターの可能性を考えつつも、振り向いてくれない相手を待つことができず結婚してしまうし、お互いの両片想い感がいじらしい。
この恋に生きるリアルなMJも本作の魅力だ。
ラストは自身がスパイダーマンであること、だからこそ一緒にはいられないことを伝えたうえで、守ってもらう側も「一緒に戦っていく覚悟はできている」ということで満を持してカップル成立へ。
二律背反はピーター・スパイダーマンがひとりで背負わないことで前に進む。
本作の最大の魅力、それはなんといっても戦闘シーン！
最高のカメラワークで繰り広げられるドック・オクとの大迫力戦闘シーンはいつ見ても飽きることが無い。
斬新な構図、魅力的な決めカットは強烈で、スパイダーマン映画といえば本作を想像するほど記憶に鮮明に残る。
銀行の金袋投げ、時計台の針の投げ合い、電車上の戦闘シーン、そして電車を止めるシーン…。
どれも生涯忘れられないようなお気に入りのシーンばかりだ。
ヒーローのカッコいいシーンがちゃんと魅力的なのは何よりも重要で、そして嬉しいことだ。
久しぶりに見たが、色褪せない名作だった。
最高のスパイダーマン映画だ！！
