めちゃくちゃすごい映画でした、
いろいろな意味で贅沢であり、
豪華で、かつ心に迫る物語で、
今のところ相米作品では一番好き。
役者の豪華さは言うまでもなく、
それぞれの演技とか、存在とか、
もともと持っている輝きとか、
それぞれが申し分なく発揮されていて
大作映画として、十分だと思います。
描かれているものは、
まぐろに魅了されすぎた一人の
孤独な漁師の話なんだけど、
まあ死と孤独がずっとつきまとっていて、
不安な感情にさせられる。
緒形拳さんは、何をやらせてもすごい。
夏目雅子さんは、ひたすら愛らしくて美しく、そしてどこか影のある姿が似合う。
佐藤浩一さんは、スタイルがめちゃ良くて初々しかった。個人的には、
十朱幸世さんが雨の中、やってくるシーンがとても好きでした。円楽さんが出てたのも嬉しかったなぁ。
引きのシーンがすごく多いんだけど、
音と空間構図、佇まいだけで、感情を伝える技はこれぞ相米テクニック。
オープニングの傘がはらりと置いてある
シーンも素敵でした。
まぐろのシーンは、実際に緒形さんが釣り上げるまで何日もかけたとか、
今では絶対できなさそうなことだけど、
あの釣り糸をギュウギュウ引くシーンの長さや迫力はそういうことだったんだな。
ラストは、ほろりと泣いてしまう。
ああじゃなきゃいけなかったのかなとも
正直思う。
あまりのおとぼけというか、
ポンコツ感溢れる若者にくすっと
してしまうけれど、
ああいう厳しさが生きるってこと
だとも思う