TaiRa

ゴジラのTaiRaのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
5.0
久しぶりに観直した。やっぱ怖い。一番怖い映画かもしれない。

観る度に思ってるかもしれんが、特撮のクオリティ凄過ぎるな。ミニチュアのリアルさとか作り込みに毎度驚いてる。序盤のゴジラが出て来るまでの怖さとかほんと凄い。漁船や貨物船が立て続けに沈没するとこから海保に押し寄せる被害者家族のリアリティとか。第五福竜丸の事件って54年の3月なんだね。11月に封切りだから凄いスケジュール。ゴジラが登場する瞬間の怖さとか中々説明し辛いけど、あれタイミングが若干前のめりだから怖いのかな。ゴジラが報道されてからの市井の人々を描写するとこでも「長崎から生き延びた」東京のOLとか映してて生々しい。これが『ゴジラ』だよなって思うのは、被爆した女の子にガイガーカウンターがガガガと音を立てる光景。あの病院を映すショットが残酷的に美しいのがまた凄い。あとこの映画の中心にあるのが宝田明、河内桃子、平田昭彦の三角関係なのも良い。これ戦後における心の在り方の話なんだよね。宝田明が頑としてゴジラ打倒を主張するのに対し志村喬が反論する様とか色々含んでる。ゴジラはあらゆる物の象徴だからね。戦後を「幸福に生きる」事が出来ない人間=芹沢がゴジラと共に消えて行くのも象徴的だし。世界に適応出来ない人間だけが怪獣と対等に向き合えるのよ。宝田明みたいな健全なヒーローには無理なの。怪獣って心の隙間にいるものだからね。そういう重要な点が最近の怪獣映画には少ないね。
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