昔から特撮に興味がなかった。ウルトラマンも仮面ライダーも、そしてゴジラも一切観たことがなかった。
ゴジラと私の接点と言えば、戦後史に出てくる「国会議事堂に現れるゴジラ」の写真だけ。
初代ゴジラは社会的テーマも持っていると聞いていたので、いつかは確認しようと思っていたが、歴史の授業から10年経ってしまった。
そして、観て思った。こんなに大人向けとは。
ゴジラが出てきて、倒せイエーイな展開ではなく、殺すのかどうか迷い、そして新兵器が出てからも、原爆のように軍事転用されるかもという危惧から使用するか葛藤するシーンもある。
これらのシーンもそうだが、終戦から9年しか経っていないため、戦争の影を感じる部分が多い。他のパニック映画と決定的に違うのは、「また戦争(に近いこと)が起こってしまったという絶望感」を感じるところだと思う。
ゴジラに追い詰められた母子が「お父ちゃまと、また会えるのよ」と言い残し、最期を迎える場面が、この哀しさを象徴している気がする。