マルクベームの小説を元にしていて、フランス語版フィルムノワール、『死への逃避行』のリメイクになる。『死への逃避行』は評価が高いのだが、こちらのハリウッド版は評価が低い。フィルムノワール特有の画面の重さ(暗さ、靄)やイザベルアジャーニがないためだろうか。
しかし、ハリウッド版を推す。劇中のハイテクとか、画面の明るさ、ユアンマクレガーの淡白さ、は物語の狂気や孤独な欲望を邪魔するものじゃないく、むしろさらに焚きつけるように機能している。
最後のカタストロフィと青空に向かって濃密に編まれたストーリーが展開する。
ストーリーは何の関係もないが、孤独さが『惑星ソラリス』を思い出させせる。ソラリスのハリウッド版はイマイチだと思う。確かにハリウッド的改悪というのは、よくある話で、がっかりが多いけど、こちらは違う!オリジナルのソラリスばりの名作!
☆5回くらいに見返した後の感想
初めて観た当時は、精神分析学に夢中で、当然なのだが、隠れた近親相姦的願望と、全編の不思議なくらいの明るい画面の対立をどう理解したらいいのか、ずっと考えた記憶がある。
見返してみても、とにかく素晴らしい。